2015年2月17日火曜日

曽野綾子さんアパルトヘイト称揚?について

「世の中には『読んでいない』のに断定的に批判してしまう人が多い」
ということが本当によくわかる事例だ。

いや批判していけないのではなく、実際にその問題となった記事を読むまでは「自分の意見が浅はかである可能性」を残して語るのが賢明だろう。

曽野綾子さんのこの1件についてNaverまとめがあったのでよく知らない人はこおを参照されたい。

曽野綾子さんのゲスすぎる産経新聞コラムが英訳されNYT記者が紹介

その問題と成る記事を読んで感じられたのは、「南アを含む欧米社会」の「琴線と実際的ではないお花畑のヒューマニタリアンな普通の日本人」と「世界のいろんな地域を実際に上から目線で見続けてきた曽野綾子さんの視点」が出会う交差点だ。明らかに「Racism(人種差別主義)」と呼ぶのは言い過ぎだし、Naverまとめのこのタイトル自体が”ゲス”だ。

曽野さんの視点は実見してきた民族の多様さとそのギャップに「乗り越えることは難しい」というある種の諦観があるようで、これを批判する欧米メディアは「議論の余地無く固定的で触れてはいけない(表現の自由よりも優先される)話題」であり、ヒューマニタリアンなごく普通の日本人は、体験せずに想像されるギャップを「いくらなんでも同じ人間」と甘めに見立ててやさしさによって非難ということになっているのではないだろうか。

南アフリカ政府としては彼らのガバナンス上の正当性に根ざすことなので、話題に上れば非難せずにおれないということだろう。

私の意見は「日本に来て働こうとする人だからこそ、ある程度の柔軟性を持とうとするだろうし、そもそもギャップの大きさは様々なので世界の隅々まで一様に捉えることは馬鹿げている。差別や蔑視ではなくギャップによるジャッジで、フィージビリティを確認しつつ日本での就業を許可し、許可後は基本どこにでも住めることにし、「むしろ外国人だから住めない」とする人たちを処罰、外国人住民のコミュニティでの行事への参加を義務化し、なるべく集住させない分散型居住を促す施策をすべきだろうと思う。

ただ、いま建設業の人手不足が顕著であり、技能実習生という名目で安くて捨てやすい外国人をフィルター薄く使役することがますます増えていきそうな風潮で、犯罪者が入り込んだり、今後進むインフレ故の困窮から犯罪に走る外国人労働者が増える可能性も考えるとそれでいいのだろうかという自信のなさは残る。

シンガポールでは国民の90%は持ち家で、80%は国家が運営するいわば公団住宅に住んでいるのだが、主要民族である中華系、マレー系、タミール系がそれぞれ固まって集住することがないよう、国民の民族構成比率に応じてそれぞれの公団住宅一棟一棟にそれぞれの民族が配されるよう配慮されているんだ。これは文化的側面が時代とともに混ざり薄まりするだろうが、遠くの親戚よりも隣人という意識がうまれ、また毎日顔を見て習慣を長年見かけることで理解と諦めが進み結果社会の安全が最低限保たれるということになるということでしょう。

ただ外国人労働者の場合はメードならばシンガポール人家族の家に住み込み、建築現場などのワーカーは郊外の専用宿舎などに寄宿している。

南アフリカは民族間のギャップが大きすぎるのか、どうなのか、シンガポールのような施策は取られていないようで、アパルトヘイト後も白人と黒人は別々に暮らしている様子(行ったことはなく実際はわからないが)。

この記事を読んでそう思った。
「『半径200mで強盗にあう確率150%』『バスの乗客全員が強盗』など南アフリカ・ヨハネスブルグの都市伝説は本当か? [橘玲の世界投資見聞録]」


2015年2月12日木曜日

高速バスのウィラーが鉄道事業に進出。「京都丹後鉄道」4月開業に思う。

今年4月1日、「京都丹後鉄道」が営業を開始する。

京都丹後鉄道

この路線は現在「北近畿タンゴ鉄道」として運営されている第三セクター。同社は4月から線路を保有したまま鉄道事業の運営を民間に移譲、同時に名称が変更され「京都丹後鉄道」として生まれ変わる。

今回移譲を受け鉄道事業を行うのは「ウィラートレインズ株式会社」。高速バス業界をリードする「ウィラーエクスプレス」グループの一員だ。

高速バスのウィラーエクスプレス

ウィラーは格安航空会社の運営手法などを取り入れ、座席数限定で東京−大阪間550円などにみられる極端なプロモーション活動、まるで宇宙船のようなバス「スターファイター」や座席を斜めに配置し高い壁を設定してプライバシーを高めた「コクーン」、快適性とデザイン性が高い待合施設の設置など積極的に攻めの姿勢を取り続ける業者。サイト上では「世界中の人の移動に、バリューイノベーションをおこす」と唱われていて、2016年には海外展開を図りたいとしている。

私は、特定地域における一つの鉄道事業者の寡占的な状況をみて特に事前の知識もなく「線路と車両は別の会社で運営され、車両の方は複数の会社が同路線を運営する形があってもいいじゃないか」と競争の原理の導入によるサービスとコストへの好ましい効果を妄想していたことがあるが、昨年このウィラーの鉄道展開を知ったとき「まさにこれだ」と実現を喜んだものだった(「連結される車両ごとに別の業者であっても」とも思った)。

しかし実は鉄道事業者はおおまかに第一種から三種まで分かれていて、鉄道事業を運営する”第二種”、それと線路を敷設して二種に貸す”第三種”が別々の会社という事例は日本国内において約30事例あることを知った(第2種が複数というものはゼロだが)。

ちなみにシンガポールにおいては、全ての鉄道とその車両は国家のもので、陸運庁(LTA)がそれらを統括管理、運営自体は路線ごとに別々に、SBS Transit社やSMRT社に運営を委託している。

SBS Transit
SMRT

現行の「北近畿タンゴ鉄道」は日本で数ある第三セクターの中でもワーストの域にある赤字会社/路線で、路線がまたぐ京都府と兵庫県から毎年4〜5億といわれる多額の補助金を受け取っている。ウィラー運営となってからの同路線の補助金の具合はどうなっていくか気になるところ。

ウィラーにみられる格安バス会社や、また一般の格安航空会社の存在価値はコストを下げながら安全に確実に、そして出来る限り快適に移動できること。紆余曲折はありながらも経験を積み、適正な利益率を求めながら価格によって顧客に転化していく会社/業界の体質は第三セクター運営における補助金頼み、また経営側の自助努力へのインセンティブの不足という構造的問題を、あえて第二種、第三種に分けることにより期待できるものであろう。

第三種となる「北近畿タンゴ鉄道」はいわば大家さんとなるので、そこにゆるい経営というものは存在しづらく、影響も限定的だと考えられる。

ところで私の実家のある富山を東西に突き抜ける線路にJR北陸本線がある。北陸本線と信越本線の一部は3月13日を限りに翌日の北陸新幹線開業から第三セクター化される。またがるそれぞれの県によって境に「あいの風とやま鉄道」「IRいしかわ鉄道」「えちごトキめき鉄道」「しなの鉄道」(しなの鉄道は従来から存在。第三セクター化部分を引き受ける)と4社に分かれることとなった。

あいの風とやま鉄道株式会社
IRいしかわ鉄道株式会社
えちごトキめき鉄道株式会社
しなの鉄道株式会社

私はこの4社に渡る第三セクター化について、管理コストの面と利便性の面からいかにも「行政区分」だからと最初から別々の道を歩むことを半ば思考停止的に決定したのではないかと疑問に思っていて、各県をまたがる一社を各県が出資する形体も検討出来たのではないかと思っている。

またもう一つ気になっているのは、行政が運営する格安バス。いわゆるコミュニティバスと呼ばれるもの。一回の乗車につき100円〜200円の定額を設定し、各市町村が地元のバス会社やタクシー会社などを使って運営するものだ。大阪梅田の「うめぐる」や東京渋谷の「ハチ公バス」にみられるような都会型のものは利便性が高く、若干民業圧迫の気はあるものの、利用率も高いことから意味・価値はあるものと思われるが、人口数万人の各市町村で展開されるそれは、とても中途半端なものだ。

うめぐるバス
ハチ公バス

具体的に言えば、富山でも私の実家は入善町という人口2万6千人、人口密度360人/km2の町で運営される「のらんマイ・カー」は1日4回しかやって来ない。しかも中途半端な時間帯で北陸本線との乗り換え時間も考慮されていない。年末年始は都会から家族を連れて実家に帰ってくる人が期待され、それこそ価値が試される時なのに運休。一体何のためにやっているのか中途半端な現状だ。「これではマイカーに『のらん』でおこう」というのは土台無理だし、「故郷に帰っても足がないから不便だ」と帰る回数や滞在日数も増えそうにない。

のらんマイ・カー

(ちなみにこの「のらんマイ・カー」の意味は、挑戦的に「マイカーにのるのをやめよう」と言っているふうに聞こえるがそうではなくて、方言では「〜せんまい」=「〜しましょうよ」という意味を持っていて、このネーミングの意味は「乗りましょう」という意味である。ミスリードを引き起こすようなこのようなネーミングにも問題がある)

利便性もそうだが、もし地域経済の発展・維持を考えてのコミュニティバスであるならば、もっと大胆な腹づもりが必要で、「赤字が出るからミニマムにしよう」という発想から離れ、「全ての家屋から徒歩15分以内の場所にバス停を設置しよう」「早朝から晩まで30分に1本はバスが来るようにしよう」という設計のもと最低限のコストを試算して運営すべきで、あまりにコストが大きくやれないということであればいっそすべてやらないという決断がなければならないと思う。現状では委託先のタクシー会社を利しているだけのようなものだ。

バスの話が長くなっているが、バスには軌道がないので脱線OKとしてもう少し書くが、一昨年台湾南部の嘉義を訪れた時のこと、台湾新幹線の嘉義駅を下りて、そこにやってくるバスは新幹線チケットをみせれば無料だった。日本の新幹線の新駅にあるように、なるべく直線の軌道を描くために主要駅以外は新横浜、新大阪みたいな市内中心部から外れたところに駅があり、嘉義駅もそのような感じ。東の嘉義市、西の嘉義県それぞれの中心部のちょうど間にあるような位置にある駅から両方に向かってバスが出ていた。北陸新幹線開通とともに開く黒部市の駅にまでこのコミュニティバスは延伸スべきだと思っている(黒部インターの高速バス乗り場にもね)。

さて話はもどって京都丹後鉄道。ウィラーは京都丹後鉄道を開業することをきっかけに沿線に「高次元交通ネットワーク」を構築することを目指すという。それぞれの駅を中心にバス停と駅を同じ場所に配置し、乗り換え時間にも配慮し、これまでマイカーでないと行きにくかったところでも行きやすくするよう図っていくという。

そもそも第三セクターで大赤字を出し続ける地域だから、簡単なことではないだろうが、ウィラーがこれまで培ってきたコスト低減とフィーサビリティの高さに大いに期待したいところだ。

あと、まるで漆塗りのような素敵な車両「くろまつ号」「あかまつ号」に乗ってぜひ天橋立を観にいきたい。

「北近畿タンゴ鉄道、『丹後くろまつ号』のルート・時刻を変更」 
(レスポンス2014年11月11日)

日本をダメにするうさぎ跳び精神

なんか良さげなこと言ってるのかなって思って聴き始めてみたYoutube。 武井さんじゃなくて、武井さんがインタビューしてる相手のことを「あかんなあ」と思ったのでオピニオン。 【武井壮】日本人に多い間違った働き方!! 武井さん聞き手となっている相手は俣野成敏さんとやら。...